やきもの物語

土の話 その2

一般的に採掘した土は、不純物をとり除いて、水簸し精製して練ります。

では、タイル工場など量産向けの土はどのような工程で、タイル工場に来るのでしょうか?

タイル用原料をつくる地元の丸美陶料さんを見学させて頂きました。

一区画400㌧の原料土が入るストックヤードがずらりと並んでいます。白土、赤土などおよそ100種類ほどの原土があります。

ほとんどがこの地方のものですが、新しい優良な資源を求めて、遠くは信楽と東京都新島産もあります。ちょうど、ストックヤードにトラックから原料が降ろされていました。
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降ろされていたのは、工場から出た陶器屑を回収し粉砕したリサイクル原料でした。窯業資源にする原土は日本全国であと50年分ほどと言われており、資源の枯渇の改善にこのようなリサイクル原料も原土と同じように並んでいます。
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    9㌧の原料が入るボールミル

原土やリサイクル原料は、数種類を混ぜ合わせて調合し、セラミックボール、玉石と一緒にボールミルに投入、およそ18時間回されます。
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ちなみに玉石はフランスの天然石でした。

釉薬調合の場合はセラミックボールだけですが、原土には大きな玉石が相応しいようです。

 

これだけでずいぶん滑らかな粒子ですが、さらにスラリータンクに移されドロドロの泥しょう状まで攪拌されます。

 

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タンクは2階建ての屋根から覗くような深さ。上から見下ろすと足がすくむ思いです。

泥しょう状になった原料は、乾燥をかけて顆粒状になります。

乾燥はスプレードライヤーと呼ばれる高さ25㍍ほどの塔の中です。タイルの街の象徴的な建物です。宮崎駿の「ハウルの動く城」を連想しませんか?
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  この中で泥しょうは噴出され、400~500℃の熱風を吹き付けて乾燥。舞い降りてくる間に顆粒状になります。

顆粒にするには、これくらいの高さが必要なんだとか。

ところで、なぜ粉末ではなく顆粒状なんでしょう?プレスによる乾式成形は湿式より歪みや縮みが少ないと以前のブログでも載せましたが、微粒体のままだと粒子どうしの摩擦に影響されて成形に欠陥がでるからです。
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 乾燥してできあがったタイル原料の出口

このようにしてできあがった顆粒状の原料がタイル工場に運ばれてくるのです。

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     加納工場内原料タンク

                     (Muto)

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