ブログ

乾式プレス成形

タイル工場のラインの始まりは大きなプレス機です。
IMG_8086a.jpg

1平方㎝あたりに230㎏もの圧力が加わり、タイルの形が始まります。

タイルの成形は、顆粒状の原料を高圧でプレスする乾式成形です。 乾式の最大のメリットは、歪みを防ぐことでしょう。

水を含んだ柔らかい粘土で成形すると、外側と内側の乾燥具合の差でどちらかに引っ張られ、歪みが生じてしまいます。とくに真っ平らなタイルのような形状は、周りが切れたり反ったりしやすく、少しの歪みでも致命的です。

スペインなどヨーロッパでは、水を含んだ粘土で成形する手作りのタイルがあります。こちらはせっき質、いわゆる土物です。

湿気が多く、寒暖の四季のある日本では、カビや凍てて割れることを考慮すると、硬質な磁器質がやはりメインになります。

手作りのやきものはゆっくり乾燥する必要があります。時間がかかる上、乾燥具合によって形にバラつきが出る割合も高くなります。味わいがありますが、量産体制には向きません。 日本のJIS規格は吸水率を3%以下としています。乾式成形は、サイズや形の精度が均一なものです。
IMG_7915a.jpg

石の面状にプレスされたタイルには、まだ四方にバリがあります。それがラインを通っていくとキレイにはぎ取られるさまは、見ていて気持ちが良いほどです。粉状でありながら、機械に吸い上げられて移動するようすは不思議です。

 ラインでは何カ所で検品があります。
IMG_8080a.jpg

「青だけ」もそのひとつです。青色の溶液に成形したものを付けることで、ヒビ切れの有無を検品しています。

その後釉掛けへとラインは進んでいきます。いくつかの検品を経て、窯入れの前に乾燥庫でしっかり乾燥をさせ、いよいよ窯入れになるのです。                  (Muto)

循環型リサイクル

やきものの原料は、長石や珪石、蛙目、カオリンなどです。

地球上に気の遠くなるほど長い年月をかけて堆積した、土や石からなる天然資源なんですね。

土や石なのだから埋蔵量は無限のように錯覚しますが、不純物のない良質なものは限られています。

粘土分のカオリンは、化粧品のパウダーや胃腸薬など医薬品にも使われています。

医薬品?口にするもの?とびっくりですが、不純物のないカオリンはキレイです。

工業原料全体として考えると、採掘量は多いでしょう。

このカオリンも最近では輸入に頼らざるえない現状があります。

良質な土のとれる鉱山がある土地は、窯業産地として大昔から発展してきました。美濃もそうです。

そんなわけで、窯業においても資源の枯渇は無視できない課題です。
IMG_7949.JPG

加納の工場内には、リサイクル容器があちこちにあります。検品で外れたタイル破片と、成形不良の陶土屑を分別して入れています。
IMG_8005.JPG

外にはプールのような大型の容器が設置してあります。

埋めて捨てる最終処分ではなく、再生原料にしているのです。

地元の釉薬会社がこれを集め循環型リサイクルシステムを構築しています。

タイル破片は粉砕されてすり潰され、白いセルベンと呼ばれる再生原料になります。セルベンと陶土屑、純粋なバージン原料を調合して成形のための窯業原料に再生するのです。

いくつかの原料を調整して混ぜ合わせるほど、土の欠点を補い合い長所が出て、良くなるのは、「やきもの」の特質です。

釉掛けして焼成されていても、粘土として使えるのはなぜ? 釉薬屋さんに聞いてみたところ、細か~い粉末状にすり潰すため、影響がないんだそうです。

セルベンは7~8年前に美濃焼業界と岐阜県セラミック研究所が、バージン粘土と混ぜた再生坏土(RCL粘土)を作った運動によって、一般的にも認知されたのがきっかけだったと思います。

RCL粘土のセルベンの含有率は現在20%ですが、技術的には50%まで可能だといわれています。一度焼成した再生土なので、「強い。焼成温度も低くなるので燃料の消費を減らせる」という専門家もいます。

素焼きの陶片を粉砕した物をシャモットといいますが、そういえば、大物制作の時に混ぜると、歪みやワレが少なくなります。それと同じでしょう。セルベンを入れるとろくろも挽きやすくなります。

タイルの場合はどうでしょう? タイルの成形は粉末の陶土(=坏土)を油圧プレスで成形する乾式成形です。 リサイクル原料の成分表のひとつを見ると、セルベンは5%。焼成前の成形不良品や残土とセルベンを含む窯業廃土全体は57%で、バージン粘土は33%。

技術的にすぐれた原料ができています。
IMG_8058.jpg

再生坏土で製品化した大石面状のタイル

環境を考え、リサイクルに積極的に取り組んだ製品作りは不可欠です。(Muto)

リング  窯の話 vol. 2

リング  
ring1.jpg-2.jpg

トローチ・・・?  いえ、そうではありません。

リングと呼ばれていますが、焼成中の窯内の温度、雰囲気を確認する物です。

焼成後のリングの状態を見て、どんな焼成だったのか見当をつけ、データにしています。

窯は焼き物を入れる場所によって、焼成の雰囲気が異なります。で、窯のなかのいろんな場所にリングをおいて焼成状態の見当を付けるわけです。

器を焼く窯では、ゼーゲルコーンというものがあります。三角錘のような形をしています。

こちらは、窯の穴から覗いて、その倒れ具合で温度帯と雰囲気を知る。

 もちろん温度計センサーがありますが、温度だけでは一概に知ることができない、時間による熱量と窯内の雰囲気があるものです。

窯の癖みたいなものもあります。ここが、できれば、透明の窯があったらと思う所以ですが・・・・。

均一な製品を作り上げるにはデータは重要です。

それをもとに、窯の各場所ごとで個別のバーナーワークを駆使して、雰囲気を変えているのが職人さんの経験です。

IMG_7925-a.jpg

テストピースを貼り付けたものです。並んだタイルの差は、わずかで見ただけではわかりませんが、均一にするための参考にします。わずかな差にもこだわりがあります。

日本のタイルは厳しい規格基準がありますから、少しの色、表情の差に気を配ります。

ヨーロッパのタイルとこの辺が少々違うかもしれません。 日本のものつくりはとても厳密だと思います。                             つづく  (Muto)