やきもの物語

リング  窯の話 vol. 2

リング  
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トローチ・・・?  いえ、そうではありません。

リングと呼ばれていますが、焼成中の窯内の温度、雰囲気を確認する物です。

焼成後のリングの状態を見て、どんな焼成だったのか見当をつけ、データにしています。

窯は焼き物を入れる場所によって、焼成の雰囲気が異なります。で、窯のなかのいろんな場所にリングをおいて焼成状態の見当を付けるわけです。

器を焼く窯では、ゼーゲルコーンというものがあります。三角錘のような形をしています。

こちらは、窯の穴から覗いて、その倒れ具合で温度帯と雰囲気を知る。

 もちろん温度計センサーがありますが、温度だけでは一概に知ることができない、時間による熱量と窯内の雰囲気があるものです。

窯の癖みたいなものもあります。ここが、できれば、透明の窯があったらと思う所以ですが・・・・。

均一な製品を作り上げるにはデータは重要です。

それをもとに、窯の各場所ごとで個別のバーナーワークを駆使して、雰囲気を変えているのが職人さんの経験です。

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テストピースを貼り付けたものです。並んだタイルの差は、わずかで見ただけではわかりませんが、均一にするための参考にします。わずかな差にもこだわりがあります。

日本のタイルは厳しい規格基準がありますから、少しの色、表情の差に気を配ります。

ヨーロッパのタイルとこの辺が少々違うかもしれません。 日本のものつくりはとても厳密だと思います。                             つづく  (Muto)

窯の話 vol.1

窯の話  その1

やきものは、1に焼き、2に土、3に装飾といわれます。

1に焼き・・・・ですから、焼成はすべてを決めてしまうような重要な部分を占めます。

 最後は炎に委ね、手にとって見ながらなんて調整は不可能です。

耐火プラスチックかガラスの窯ができたらと常々思っているほどですが、1250度の高温では、結局赤白い炎が見えるだけでしょうね。

 さて、トンネル窯の話です。

 加納では、全長約60㍍のトンネル窯が毎日稼働しています。

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                                  先が見えないくらい長いです。まるで倉庫か部屋

60㍍のトンネル窯でどれくらいのタイルが焼成できるのか?

ちょっと想像がつかないかもしれません。

1台の台車が出ると、1台が入るという具合で、順に流れていきます。

窯の3分の1あたりまで台車が行くと、焼成が始まり、丸1日かけます。

 やきものの窯といえば、穴窯、登り窯、ガスキルンなどがありますが、もとの仕組みは同じです。

焚き口のバーナーの炎、温められた空気が下から上へ回りながら、煙突へ抜けていく。

ただ、トンネル窯を見るたびに、効率の良い近代的な姿に感心します。

 
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こちらは一般的な陶芸用のガス窯の後ろのダンパーとドラフト。

これを抜いたり、引いたりの操作で窯の中の雰囲気を変えます。

 

窯の中は場所によって焼きの雰囲気が微妙に異なります。

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   トンネル窯のダンパーとドラフトはデカイ上に横並びでいくつもある。

 

一般的なやきものは、炎に委ねる窯変や釉薬の変化が味ですが、

タイルの場合少し事情が違います。

広い壁面に部分的な差が生じるのは、好まれません。

 窯はコンピューターによって制御しているとはいえ、微妙な感所は、やはり人の力、職人さんの経験とそのデータです。

上の写真のダンパーやドラフトに限らず、所々にある個別バーナーやら空気やらを駆使して、色、調子、雰囲気を変えています。

加納はリフォーム用に、

タイル破片から新しくタイルを再現する仕事をしていますが( 補修タイル研究所 詳しくはこちら)、

これも今までの経験とデータあってのことです。

                               つづく    (Muto)

やきもの物語

やきもの物語

 
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これは、サヤです。

ビルの模型のようにも見えますが、

集積の美と言いましょうか、同じ物が理路整然と並んでる姿は美しいですね。
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こちらは、役物といって、壁面などのコーナー用のタイルのサヤです。

「美濃焼」といえば、それはせんべいか?と言われたのはちょっと前の笑い話。

ようやく馴染んできたでしょうか?

「やきもの」は、地名がつくのが一般的で、原料の土のとれる地名からきているようです。

で、「何焼き」ですかとよく聞かれます。

さて、そうするとタイルですが、これも「美濃焼」です。

新しく「ブログ」のコーナーに「やきもの物語」を新設しました。

陶芸に興味のある一般の方、また建設関係など専門の方に読んで頂ければ幸いです。

宜しくお願いします!     (Muto)