WORK タイル施工
タイルの貼り方(プロ編)
これは当社の防火水槽です。汚いですねぇ(笑) さて、この汚いコンクリート壁がタイルでどのように綺麗になるのでしょうか。このコンクリートの壁の部分にこれからタイルを貼っていきます。水槽は傾斜に設置されていますので、壁の高さは55cm~105cm。横方向は3.4m×2.4m。この水槽の深さは2mほどあるんです。
これが施工業者さんの道具です。我々はタイルメーカーですが、通常使わない道具ばかり。道具を見るのは好きですね。やはりメーカーの人間だから?この道具で、まずはタイルを貼るための下地を作って行きます。外壁部分の凸凹を平らにする作業ですね。
前回から4日間養生しました。これからさっそくタイルを貼っていきます!
←さてこれはなんでしょう?
正解は、「モルタル接着増強剤」(白い液体です)。私も知りませんでした・・・
この「モルタル接着増強剤」を、先日塗った下地モルタルの上に塗っていきます。こうする事でこれから塗る「接着モルタル」の水分を下地モルタルに取られないようにして、接着性を高めるものだそうです。接着剤のプライマーのような物かなぁ。。。
それでは「モルタル接着増強剤」を塗っていきます。デッキブラシの先のようなブラシであっという間に塗ってしまいました。これなら私にも出来そう(笑)
表面が少し白っぽくなっているのが分かりますか?
セメントを一部混ぜ、水を入れてミックスします。機械はドリルのお化けのような物で、先端はプロペラのようになっています。どこまでの粘り気でいいのかは職人さんの勘のようです。
水平の基準線として、ナイロン製の糸を張ります。張り方は、釘を打ってその釘に巻きつけているのです。カチコチのコンクリート壁面では釘は打てないと思いますが、この壁は先日下地にモルタルを塗り、4日経って乾いたところで先ほど接着モルタルを塗りました。このモルタル2層に釘を打ちつけた訳です。
だいたいの所に設置して、後に調整します。
ナイロン製水平基準線の位置を計測します。ちょうど目地にあたる部分に釘を打つ訳です。一番上に乗せているのは角に貼るマグサです。このマグサの上から計測します。ここで釘の位置の微調整を行います。
これがこれからタイルを貼っていく道具類です。タイルは45四丁で、サイズは平の1個が45×195mmです。写真でお分かりの通り、紙で8個くっついています。(この単位を1シートと言います)8個いっぺんに貼れる訳です。紙とタイルは糊で引っ付いているため、タイルを施工した後に水で濡らして紙は剥がせます。
これは直角の角のてっぺんに貼る「BOX(ボクッス)」と呼ばれるものです。
平タイルを組み合わせて接着加工で作ります。今回はちょっと変わった形をしていますが、一般的には平3個を組み合わせて作る事が多いです。3面なのに"BOX"とは不思議ですねぇ。業界用語です。
さて、ここからタイルを貼ります。先ほどの"BOX"を角のてっぺんに貼り、その下の角に曲を貼ります。この曲は平同士を接着加工したものですが、2辺の長さが等しい"大曲(おおまがり)"と呼ばれるものです。
次に、曲からの"つながり"の平を貼ります。平たい木槌でコンコン叩いて接着モルタルに少しだけ埋め込みます。ここで先ほどのナイロン製水平基準線が効いてるのが分かりますね。水平が合っているか確認します。
壁際や端の処理は、現場でタイルをカットして対応します。
これは、ディスクグラインダーでカットしているところです。色鉛筆でタイルに線は書きますが、切る時はガイドなどはありません。これで真っ直ぐ切るのですからすごいですね。
このように、一番下の部分に斜めのタイルを貼り付けます。
床部分が傾斜になっていますので、今回はタイルのカットが必要です。
いつの間にか出来上がっていた、パイプ部分のタイルの曲線カット。後から聞いたのですが、上の写真にあるディスクグラインダーでカットしたそうです。直径10cm程度の円盤のグラインダーです。直線切りならともかく、曲線は・・・「これ難しいんじゃないの?」と私が聞くと、「ワケないですよ!いつもやっていますから」との答え。 30cm角などのタイルに穴を開けるのはちょっと難しいとの事ですが、今回の曲線切りは簡単だそうです。
次に、3分ほど待ってから、紙を剥がしていきます。この3分がミソなのです。時間が短すぎると糊がまだ柔らかかくなっていないため剥がれにくく、時間が長すぎると、夏などは糊が乾いて、またくっついてしまいます。
紙を剥がしたら、すぐにタイル表面の糊を拭き取ります。早い方が拭き取りやすいという事もありますが、この後の目地込み作業で、目地材が糊と固まってタイルにこびりつく事があるからです。まだ接着モルタルにタイルをひっつけたばかりですので、あまりびちょびちょに濡らす訳にもいきません。
目地剤は、UNIONのコンクリート系目地剤。色は濃灰色です。水を混ぜながらミキサーにかけていくだけで完成します。ミキサーで混ぜた目地剤の柔らか度は、これまた職人さんの勘どころ。練りワサビを少し硬くしたぐらいでしょうか。。。
手際よく角から目地に塗りこんでいきます。タイルの表面にもベタっと塗ります。
さらに30~40分ほどして目地が少し固まってきたぐらいで、今度は強めにタイル表面の目地剤の残りを拭き取ります。水をつけてしっかり拭き取ります。
床との設置面に、斜めカットしたタイルが見えます。
日向、日陰でタイルが美しく見えます。